あなたは、物事の本質を見抜けていますか?
あなたの意思決定は、本当に正しいですか?
実は、あなたのYESは、相手に操られています。引き出されています
「そんな魔法みたいなことがあるわけない?」
いいえ、影響力の武器を使えば、他人のYESを引き出すなど容易なのです。
あなたは、他人を操りたいですか?
それとも、他人に操られたいですか??
「影響力の武器」ざっくり内容
なんか怖い感じで書き始めてしまいましたが…笑
ザックリ「影響力の武器」の内容を紹介します。
動物には固定的で自動的なパターンがあります。
例えば、七面鳥の母鳥はヒナ鳥を見分ける際に「ピーピー」という鳴き声のみを判断材料としていて、「ピーピー」という音を出せば、たとえオモチャだとしても面倒を見ます。
このような動作パターンを、固定的動作パターンといいます。
人間にも固定的動作パターンに似たような自動的な反応があります。
人間も動物も、状況内の関連情報のなかの、たった1つの特徴によって引き起こされる傾向がある。
影響力の武器―ロバート・B・チャルディーニ
七面鳥の例のように、見た目や匂いなどの、ヒナ鳥を認識する多くの情報を無視し、母鳥は「鳴き声」というたった1つの特徴によって判断を下しました。
このような行動は、実は人間にも見られます。
例えば、あなたは奮発して良いスーツを買おうとしています。このとき2万円のスーツと8万円のスーツではどちらを選びますか?
このようなとき、人間はスーツの質感やデザインよりも、値段という要素に大きく引っ張られてしまいます。なぜなら「高価なもの=良質なもの」という固定的な思考が身についてしまっているからです。
この値段というたった1つの特徴によって判断を下してしまう自動的な行動が、人間にはいくつもあります。
人間における自動的な行動は魅力的で、このポイントを押さえておけば、相手にYESと言わせることが容易になります。
しかし反対に、このような固定的行動パターンに熟知した人の前では、相手の思うがままに動かされてしまうのです。
このような原理を影響力の武器(weapon of influence)といい、この本では6つの影響力の武器を紹介しています。
誰が書いたのか?
この本を書いたのは、ロバート・B・チャルディーニ。アリゾナ州立大学心理学部名誉教授です。
アメリカを代表する社会心理学者で、社会的影響力の仕組みなど多くの業績をもちます。
6つの影響力の武器
影響力の武器では、6つの武器を提唱しています。これらは日常に潜み、あなたの意思決定を自動化してしまいます。
返報性
簡単に言うと、「お返ししなきゃいけない。」という義務感です。
何かをもらったり、何か親切をしてくれると、お返しをしなきゃと思いますよね?
これが巧みに使われている場面がいくつもあります。例えばスーパーの試食です。
たった少しの試食をしてしまったがために、「何か買わなきゃいけないんじゃないか」という義務感に襲われたことはありませんか?
買わなかったとしても、少し後ろめたさが残りませんか?
返報性は、無意識のうちにもらったものよりも少し大きくして返さなければならないという気持ちになります。
それをわかっているので、スーパーはタダで試食をしています。
この返報性に限らずですが、影響力の武器は義務感に苛まれるのです。
わかっていてもYESと言ってしまうほどの絶大な力が、影響力の武器です。
コミットメントと一貫性
簡単に言うと、「一貫した思考を持ち続けたい。」という気持ちです。
自分が過去に言ったことや、過去にしたことにはウソをつきたくないということです。
ちょっとわかりにくいので例を挙げると、
よく、「目標や夢は公言すれば達成しやすい。なぜなら、引っ込みがつかなくなるからだ」というのを聞いたことがありませんか?これは一貫性の心理を利用した作戦です。
人間は「過去に自分が言ったこと、公約(コミットメント)したことを取り下げたくない。」という思いがあります。
このように、一貫性を持つことは基本的に良いことです。うまく利用すれば夢をかなえる手助けになります。
しかしなかには、一貫性によってうまく丸め込まれることもあります。
例えば、「今日ひま?」と聞かれて、素直に「ひまだよ」と答えてしまったがために、めんどくさいことを手伝わされたり、やりたくないことをした経験はありませんか?
「ヒマ」というコミットメントをしてしまったがために断れない。
YESと言わざるを得ない状況を作り出されてしまっているのです。
社会的証明
これは、「多くの人がYESと言ったらそれは正しい」というバイアスです。
例は、「行列ができるお店=良い店」です。
よく聞きますよね、「何の列かはわからないけど、みんなが並んでるから並んだ」ってやつです。
あらゆる情報のなかから、たった1つのみを判断材料にしてしまいます。
社会的証明の面白いところは、この逆も起こるということです。
「自分の正しさが不安になると、仲間を集めたがる」のです。
例えば、怪しい宗教に入った人が、周りから「ダマされている」と言われ不安になると、一生懸命に勧誘をし始めます。
仲間を増やすことで、この宗教は正しいという社会的証明を求めるのです。
好意
これは、「好意を持っている人の頼みごとは聞いてあげたくなる」です。
これだけ聞くと、「そりゃぁ、知らない人よりは知ってる人の頼みごとを聞くよ」と当たり前のように感じますが、これをうまく使っている人たちが存在します。
例えば、セールスマン。「とても親切で感じが良くて、良い人だな」と思ったことはありませんか? これがすでに好意です。このような人の前では、ついつい買ってしまいます。
ぼくも、フラッと立ち寄ったバイク屋さんで、優しくて親切なセールスマンに勧められてバイクを買ってしまいました…笑
また、美人というのも好意が生まれます。
美人に何かを勧められたら、1回立ち止まってしっかり考えたほうが良いでしょう。
権威
権威は、「偉い人が言ったなら正しい」というやつです。
テレビでよく、「専門家によると~」という言葉を聞きませんか?
これは、権威によって信ぴょう性を得ているのです。
実際は専門家でも、ぼくらより少し詳しいだけのような、実績の乏しい専門家も一部いますが、「専門家」という言葉だけで正しいと思ってしまうのです。
これは専門家に限らず、仕立ての良いスーツを着ていたり、高そうな車やアクセサリーを持っているだけで権威が生まれます。
これも、なかには実績の乏しい権威もありますが、それでも人は信じてしまうのです。
希少性
「少ないものが貴重に思える」というものです。
実際に希少性は価値になりますが、
例えば「限定○個」や、「数量限定」などの言葉があると、ついつい急いで買ってしまった経験はありませんか?
「なくなっちゃうかも!」という感情に人間は弱いのです。
これは数量だけに限らず、時間の制限にも心理が働きます。
不動産屋さんにお部屋探しに行ったとき、「人気物件で、いま契約しないとなくなっちゃいますよ!」といわれて契約したことはありませんか? ぼくはあります。
ほかにも、スタバの「期間限定」は毎回買ってしまう、テレビショッピングの、「いまから30分は○割引!」に弱い、など。
希少性のワナはいたるところに潜んでいます。
「影響力の武器」を読むことでどう変わるか
これ紹介した武器は、知っているだけでも十分です。
なぜなら、余計なバイアスを排除できるからです。
社会性の固定動作パターンを知っているあなたは、むやみやたらに行列に並ばなくなります。
権威の固定動作パターンを知っているあなたは、偉い人が言った言葉を疑えるようになります。
これだけでも十分な進歩です。たった1つの情報ではなく、様々な要素から物事を判断できるようになります。
しかし、それだけでは影響力の武器を最大限に生かしきれていません。
さらに応用することができます。
例えば、何かビジネスをやるとなったら、キャッチコピーで希少性をアピールすることは有効でしょう。
ビジネスでなくとも、普段から好意を持たれるような振る舞いをすれば、ここぞというときにお願いを聞いてくれますし、
影響力の武器は様々なことに応用が可能なのです。
まとめ
6つの武器をまとめると
- 返報性
- 一貫性
- 社会性
- 好意
- 権威
- 希少性
になります。
この6つの武器を知っておくと、
これらを使ってダマそうとする相手の魂胆を見破ることもできますし、
6つの武器をうまく利用して、相手のYESを引き出すことも可能です。
「影響力の武器」感想
最初にこの「影響力の武器」を読んだときは、
「あれはダマされていたのか!」「あれもうまく丸め込まれていた!」
と、衝撃がいくつも走りました。
それほでまでに、ぼくら人間は簡単に操られているのです。
「影響力の武器を使って誰かをダマしてやろうか」とも考えました。
しかし、影響力の武器を良い方向に使うと、人間関係が良くなりました。
返報性の影響力の武器を使うために、色んな人に親切をするようになりました。
好意や権威の影響力の武器を使うために、身だしなみに気を使い始めました。
すると、いままでより多くの人とつながることができ、社会性の影響力の武器も手に入れました。
このように、人間関係の好循環が起こるようになったのです。
影響力の武器は、絶大な力を持っています。悪用するか、善用するかは、あなた次第です。